Hazy Idea Storage

エンジニアリング全般についての備忘録

問題解決の一歩手前から考える

今年の3月からエンジニアリング組織全体の開発生産性の向上をメインテーマとして業務に取り組んでいる。

半年間やってきて思うのは、思考の出発点が「問題解決」からスタートしないことが非常に重要だということ。

もっと言えば、「解くべき課題はなにか」を設定することにもっと慎重になるべきであり、そこのステップの検討を疎かにしたまま、「とりあえずやってみる」という態度を取ることは望ましくない。

問題解決の手法は今やコモディティ化してきて、ロジックツリーやMECE分解などフレームワークは人口に膾炙してきた感がある。

ただ一方で、「そもそも我々が解こうとしている課題は何であり、その課題設定が本当に正しいんだっけ?」としつこく問うスキルというのは、まだコモディティ化していないように感じる。

生成AIの台頭で我々は気軽にAIに対して「質問をする」ことが出来るようになり、それに対して高度な回答を得られるようになった。

つまり、どんな問を投げかけるかさえ決めることができてしまえば、それなりの精度の答えを得られるようになったわけだ。

でも、AIは我々に対して、「どんな問を立てればよいか」という所まではゼロからサポートしてくれない。

もちろん、とても抽象的な問を立ててchatGPTに質問してそこからドリルダウン的に具体的な問を立てていくというように、抽象から具体へのステップを踏むのには非常に役に立つ。

下記のスクショのように、漠然とした質問からスタートして、問題解決のための思考過程のベストプラクティスをトレースできるのは非常に勉強になる

こうしたコスト問題は、問を作り出す難易度は比較的低い課題だと思う。なぜならコストは低いほうが良いという簡単かつ明瞭な価値判断が所与のものとして存在しており、その問を生み出すこと自体は誰だって簡単にできるからだ。

あとは、その問を解くための問題解決プロセスの全体像をchatGPTに描いてもらい、そこから肉付けを人間がしていけば良い。

難しいのは、「そもそもGCPを使う必要ってあるんだっけ」とか、「インフラアーキテクチャのうち、この部分だけオンプレ運用したほうがいいのでは?」というような問を立てることだと思う。

どうやって既存の枠組みで問題解決をするかというフレームにとらわれず、「そもそも、なんで現状こうなっているんだっけ?」という違和感にふと気づき、その違和感を言語化する力というのは、まだAIは代わりにやってくれないはずだ。

そしてその力こそが、「問題解決」の一歩手前にある、「問題発見・定義」の力なんじゃないか。

そうした力が活きる営みをやっていけたらいいなと思う。